2019年7月13日

特殊清掃作業実例~作業編

 高齢男性一人暮らしの現場実例

前回見積もりが終わり作業に入る続きから書いていく。

前回記事をぜひ読んでからこちらを見てほしい。

我々は大家さんに見積金額にOKを頂き作業をすることになった。

金額交渉があって少し値下げさせて頂いたが、こちらもギリギリの値段で出していたため大幅な値下げはできなかった。

作業当日大家さんの立ち合いはいただけなかったので、預かりで作業することとなった。

今回作業に必要な車は2トンロング車と軽トラック、あとは提携しているゴミ屋さんの4トンパッカー車である。

我々は車を停め近隣住民に挨拶を済ませ、現場に向かう  。                                                                   

現場へ向かう途中で前回見積もり時に、家電と土を要求してきた近隣住民と出会う。

見積もり時はまだスターチスが家を片づけるとは決まっていなかったため明確な返事はできなったが、今回我々が作業することとなったので、家電と土をお譲りできるようになったと伝え、軽く挨拶をした。

もちろん家電や土は大家さんの許可を得た上で

今回のような大型特殊清掃現場はまず家の残置物を撤去していくのだが、今回の場合水の入ったままの水槽や亡くなってそのまま放置されている飼い犬の死体があるため、片付けるために片づけることにする。

まずは、飼い犬の死体の処理

以前尼崎市に電話で問い合わせたところ

透明か半透明もしくは段ボールに入れておくように と言われていたので、申し訳ない思いと共にカチカチでブーメランの様になった犬を袋に入れて、市役所の回収が来るまで部屋の片隅に置いておいた。

水槽の中に満タン水が入っていたのでトイレで流し、動かせるようにしておく。

特殊清掃の多くの場合は、荷物を搬出しながら家を片付けることが出来ない。

なぜなら、臭いや害虫が外に出てしまうからである。

今回現場の床や壁にはゴキブリやクモが大量に這っていたので、部屋の一室を片付けそこに処分品をためていくことにした。

唯一部屋の一室で片付けられそうな部屋は先ほどビューティーちゃんを袋に入れ置いていた部屋だ。

部屋の中は布団が4重に重ねられ、お菓子屋ドッグフードが散乱していた為尋常ではない数のゴキブリが湧いていた。

この部屋はゴキブリが平気な岡坂が片付けることとなった。

写真を見て頂ければわかるように、そもそもの荷物が多いうえにペットの死体や食べ残しそして無数の害虫

このような部屋を片付ける業者は数多くある

ゆえに価格競争になってしまい、依頼する側もそれを把握している。

そのため値切り交渉なども頻繁に受けることもあるが、裏ではこのようなキツイ作業をしていることを少しでも認識していてくれれば幸いである。

少し愚痴っぽくなってしまったが、片付けの話に戻る。

こうした遺品整理などを行っている業者のスタッフには各々片付ける手順などが存在し、それは経験と自分のスタイルで異なってくる。

私の場合はまず、床面積の拡大を行う。

床を広げることによって、後の作業効率の向上を図る。

そのためにはまず、4重の布団を片付ける。

片付け方はシンブルで、1メートル×1メートルのサイズに収まるように、ガムテープや紐で括っていく。

布団を難なく片付け、次は周りのゴミを害虫もろとも拾い集め、袋に放り込んでいくのだが、生もの(食品類)はよけて別の袋に入れなければならない。

その作業が地味にきつく根気よく仕分けしていかなければならない。

同時に危険物(マッチ・ライター・ガス管)も別に分けておく必要がある。

仮に自分で遺品整理をするとしても気を付けなければいけない、危険物が混ざるとパッカー車(ゴミ収集車)が炎上や爆発する恐れもある。

そんなこんなで、床に広がっていた様々なものを片付けたら次は壁を一面ずつ片付けていく。

壁とは、壁際に設置されている箪笥や食器棚、カラーボックスなどである。

引き出しを開け一つ一つ丁寧に仕分けをしていく。

仕分け内容は大きく分けて以下のようになる。

・国外貿易リサイクル品

・国内リサイクル品

・貴重品(現金、通帳、印鑑、証書、時計などのアクセサリー類)

・危険物

・紙類

・布類

・鉄類

・処分

これらからまた仕分け内容が枝分かれのように分岐していく。

例えば国内リサイクルの場合

着物や家電、雑貨小物、おもちゃなど様々である。

引き出しや押し入れの中身を仕分けしていきながら部屋を片付けていき、約40分ほどで一室が片付いた。

私は個人的に担当した部屋を何分で片付けられるか時間を見ながら作業している。

勿論丁寧に仕分けしながらであるが、丁寧でも時間がかかってしまっては他のスタッフに迷惑にもなるし、立ち合いがある場合多くのご依頼者様は現場や現場付近で待たれている。

一室の完了時刻を目安に大まかな残り作業時間が見いだせれば、近くの喫茶店で休憩するなり、一時帰宅し再度来ていただくなど、選択して頂けるからである。

立ち合いは基本的に終始お勧めはしているが、夏の猛暑日などではそう言ってはいられないこともある。

今回は立ち合いがなかったためただのタイムアタックになってしまったが、早く丁寧にするのは普段から意識していないといけないと私は思う。

遺品整理の仕分けを早く丁寧にする方法は効率を考えることだと思っていて、手を早く動かしたりだとか、袋に雑に入れるだとかは丁寧だとは言えないと思う。

いかに無駄なく一息でながれるように仕分けができれば丁寧にそして早く仕分けをすることが出来る。

私が担当していた一室が片付く頃には、1階部分はほとんど終わっていたので、当初予定通りこの一室に他の部屋の処分品を積み上げていく。

その際にもゴミを扱うのではなく、住まわれていた方のお荷物を扱うのだから丁寧に行う。

仮に誰にも見られていないとしても、意識していくことが大事でありこの業種の本来の姿だと思う。

1階すべての処分を一部屋に移し終わるころには、スタッフの山本は2階をほぼ合わらせていた。

女性スタッフの山本はとんでもなく作業が早い。

2年半ほどこの仕事をしているが、ここまで作業効率がいいスタッフは他に見たことがない。

2階は見積り時問題となった部分だ

引き出しの中からは全く貴重品が出てこなかったと言う。

単にもともと入っていなかっただけではないか?

そう思うかもしれないが、5年以上のキャリアを持つ代表の池田でも

そんなことはないと不思議に思っていたので、確実に抜かれていたのだろう。

2階部分の構成は洋式ダンスが2本和ダンスが一本、衣装ケースが10個ほどあった。

衣類メインで、2階部分は死臭が少なく衣類にまで付着していなかったためリサイクルはできた。

少しだけ仕分けを手伝い、男性陣は搬出に回る

和ダンスは難なく搬出が出来たが問題は洋式ダンス

階段までの通路や階段の急こう配もあり搬出は難航した。

最終的に分解できる箪笥だったので分解し搬出した。

そのころにはいつもお世話になっているゴミ屋さんが到着したので各自家に中の物をパッカー車まで運び出していく。

水槽がかなり多く重ねることが出来なかった為に何往復も必要となった。

ある程度室内の荷物が搬出し終われば、二手に分かれ室内清掃及び特殊清掃を始めていく。

特殊清掃事態は体液があった場所の清掃を特殊な専用薬剤で綺麗にし、壁や天井もまた薬品を噴霧し拭き取る。

いたって簡単な作業かと思われるがそうではない。

臭いに応じた薬剤を臭いに合わせた消臭方法でおとしていくのは容易ではない。

この作業の手を抜けばいずれ臭いがぶり返してくる。

この作業は事件現場特殊清掃士を持っている山本が行った。

我々はたとえ解体する家でも、リフォームする家でも絶対に掃除をする。

なぜなら、掃除はしないでくださいとは言われないからである。

たまに遠慮して掃除をしなくてもいいと言ってくださる方もいるが、汚れもホコリも荷物。

その家を担当したのであれば、きれいにして終わるべきだと思う。

これは代表の意向であるがとてもいい意識ではないだろうか。

実際綺麗にして悲しんだ人はだれ一人いないし、故人も綺麗にして怒るとは思えない。

せめてもの誠意である。

そのため掃除に関して料金は取らずあくまでお節介でさせて頂いている。

特に水回りには力を入れて掃除している。

よく触れますね、やっぱりなれるもんなんですか?

と言われることがある。

決してそんなことはないし、これは言うべきではないが汚いものは汚いと思う。

しかし、この仕事に誇りを持ってする以上避けては通れないのだ。

作業は完了し大家様に完了連絡をする。

待っている間に軽く近所にチラシを入れさせていただいた。

ここまでの所要時間はおおよそ5時間。

予定よりは早く終わりなんとか帰宅渋滞に巻き込まれなく帰れそうで安心した。

大家様が到着すると、最終確認をする。

綺麗になって感動してくれていたので、こちらとしてもやりがいがあった。

今回尼崎の特殊清掃つきの遺品整理をしてかなり濃い内容だったのでブログに上げさせていただいた。

とにかく、依頼する側としては見積もりには立ち合い業者ときっちり話をする。

当日もなるべく立ち合い、業者を見張るくらいの気持ちでいないといけないのではないかと思った。